91号(1993年01月)2ページ
ベビーラッシュ!!【「ベリー」もいよいよ母親に】
オランウータンのベリーが男の子を産みました。お父さんのジュン、お母さんのベリーから字をもらって「ジュリー」と名付けられました。
ベリーは人工哺育で育てられた為、子育てを知らず、それどころかオランウータンの子供自体を見たことがありません。今回、はじめての出産でしたが、出産にあたりパニックに陥るのではないか、などと心配されていました。その為、まず人工哺育になることは仕方ないだろう、それより何より子供を生きた状態で取るということを第一目標としよう、という方針で準備が進められました。寝室に乾草を敷き詰めたり、カメラを設置したり…。
しかし予定日であった三月六日になっても全く母体に変化はなく、日が過ぎていきました。どうなっているのかと気を揉んでいると、三月十二日の朝になって、乾草の中から赤ん坊を連れたベリーが姿を現しました。母子ともに無事で、心配された程にはベリーも混乱していないようでした。赤ン坊が泣くと何とかしようと抱えるようでしたが、どうしてよいのかわからなかったようで、担当者が寝室に入っていくと、助かった、という顔をして赤ン坊を手渡しに来ました。そこではじめの予定どうり人工哺育ということになりましたが、今後出産をくり返す度に子育てを覚えていく可能性はあります。ぜひそうなってほしいものです。
今回の子供は出産時の体重が一八八〇グラムでした。はじめはミルクの飲み方に少しむらがあったようでしたが、少しずつ安定しており、量も増えています。今は類人猿舎の哺育室にある哺育器の中に入っています。となりには昨年十二月に生まれたチンパンジーの「ジーコ」が入っている哺育器が並んでいます。しばらくして哺育器から出られる頃になると、お互いによい遊び友達となるでしょう。か?