91号(1993年01月)6ページ
獣医さん大忙し【オオハナインコ・願いを込めて】
オオハナインコのひながふ化したのは、昨年九月下旬のことです。メス親は体が弱くて時には入院騒動も起こしたぐらいですから、担当者にしてみれば予想外の嬉しい出来事であったでしょう。
順調な発育は、更に喜びを倍加させました。しかし、インコ舎はワシントン条約(野生生物売買に関する条約)違反で保護収容したインコ類が増えて、急処建てられたものです。繁殖までの想定はありませんでした。
一ヶ月毎の成長記録を撮る中で、まず気になったのはメスの右足の握力の弱さだったそうです。もっと大きくショックだったのは、オスが巣立ちの際に巣の外へドスーンと落ちて、見ると足の動きが全く駄目であったことです。
右足の握力が少し弱かったメス、足が全く動かなくなったオス、相次いで巣から取り上げざるを得ませんでした。獣医は、この時はまだ巣立ちの際に足を傷めた、と判断していました。
が、調べてゆくと内に分かってきたのは、巣から落下したことが足が動かなくなったそもそもの原因ではなく、くる病にかかっていたことです。
カルシウムが足りなかった?いえいえそんな単純なものではありません。日光浴、ビタミンD、運動など、もろもろの不足が重なり合ってそんな結果を招いてしまうのです。一番口惜しいのが担当者、二番目に口惜しいのが助言者としての獣医でしょうか。
その後の積極的な治療が幸いして、メスはどうにか止まり木につかまって羽翼けるようになりました。オスは、オスは残念ながら回復の兆しはありません。
しかし、そこに至るまでの状況を見聞きして、メスだけでもよく回復させられたものと感心します。体重も二六六gと取り上げた時よりも三六gも増えています。次へのしっかりとした唐ン台になったのは確かです。