でっきぶらし(News Paper)

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出産 それぞれの経過(?T)【ピグミーマーモセット やっとの思いも】

 なんたって真猿類最小のサルです。妊娠末期になれば、誰の目にもそれと分かります。小さな太鼓腹を引きずるようにして歩いて、見るからにしんどそうでした。
 三月下旬には生まれるだろうとの予想はややずれ、生まれたのは四月二日。計算違いはその程度の筈でした。生まれた二頭の子は母親がしっかりおんぶ。昨秋に生まれた子をしっかり育てた実績を唐ワえれば、何を心配する必要があったでしょう。
 えてして、高を括っている訳ではないものの、そんな時に何かが起きるものです。一、二度、子をちゃんと育てたからと言って、そのまますんなりゆくと考えるのはやはり甘過ぎます。
 数日後、まず一頭の子が木の上に置き去りにされるアクシデントが。最初は母親から父親へ子の面倒を見るバトンタッチのちょっとしたずれが、そんな事態を招いたのかと思いました。
 どうもそれは違っていたようです。育児を不安にさせる何かの要因が生じていたようでした。彼らがストレスに意外にもろいことは承知していますが、それへの対処ほど難しいものはありません。
 一度は親に戻すことができた子は、翌日にはあえなく死亡。脳に少し出血跡があったとのことを唐ワえれば、出産時に頭をどこかぶっつけていた可能性が大です。
 それは諦めるより仕方ないとして、どうしてもう一頭の子まで放棄しなくてはならなかったのかが合点がゆきません。しかも、途中までちゃんと育てながらです。
 代番者の話では、父親か母親かがフェンスにこするようにして落としてしまったそうです。その理由が分かりません。理解に苦しみます。不幸中の幸いでしょう。子に怪我はありませんでした。今は、クロキツネザル同様に私達の手で育てています。願わくば、このような事態はこれっきりであって欲しいものです。

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