92号(1993年03月)10ページ
実習を終えて 日本動物植物専門学院 千葉敬子
今回、十二日間という短い期間でしたが、子供動物園と大型草食動物(キリン、ゾウ、バイソン)の実習をたっぷりとさせて頂きました。
短い期間だからすぐ慣れると思って休みを一日もとらなかったのがだんだんと辛くなり、朝起きて動物園まで行くのがやっとでした。しかし、動物達を見るとやる気がわいてきて頑張ることができました。
始めの一週間は、子供動物園でやりました。ロバ、ヤギ、ウサギ、レッサーパンダなど小動物が主ですが、小動物といっても仕事は大変です。獣舎はその動物にストレスを与えることなく一番生活しやすいように作られている為、複雑な形や小さい獣舎も多く、掃除は決してやりやすくはありません。
私は、動作も鈍く仕事も一つ一つ遅いため、時間ばかりがかかってしまいましたが、飼育係の人はとても素早く短時間で完璧にきれいにしてしまいます。自分ではきれいにしたつもりでも、飼育係の目はとても厳しく小さなゴミなどみつけられてしまい、本当に完璧に納得いくまでやります。
掃除にしても餌の量、大きさなどにしても“これくらいでいいや”という気持ではやってはいけないということを強く実感しました。
子供動物園では、土日などの休日はウサギ、ヒヨコを放し自由にふれ合えるようになっています。私も子ヤギを子供達に抱かせてあげました。子供達に鋭い質問をされると少しとまどってしまいますが、このように子供を相手に動物関係の仕事をすることは昔からの夢でもあったため、とても勉強になりました。
また同時に、この子供達も動物の温かさを直接感じることによって動物への感心が高まってくれたらいいなあと思いました。
子供動物園は、飼育係にとってとてもやりがいのある職場だと思いました。今は動物を品物のように扱う人が多く生き物であることを忘れてしまっているように思えます。それを防ぐためにも、もっと多くの人達が動物と直接ふれ合い、動物のことを知ることが大切であると感じました。
残りの五日間は大型草食動物です。大型なので餌の量も掃除の量もかなりあります。毎日四十キロ以上ものポリバケツを運ぶため、本当に“体力”が必要な仕事だと思いました。また、大型なので常に動物の行動に気をつけていないと危険なので緊張ではりつめた毎日でした。
初めて動物園で実習をしてみてふだんでは見ることのできない動物園の裏側を知ることができ、飼育の大変さや素晴らしさも体験し、ただ動物が好きというだけではやっていけないことも実感しました。飼育係の人と動物との間には、とても深い絆のようなものがありました。これは、本当に深い愛情と毎日の世話がなくてはうまれないものだと思いました。
私はミスが多く動作も鈍いため足でまといだったと思いますが飼育係の人達はとても親切に時には厳しく御指導いていただきました。おかげでとても貴重な体験ができました。また機会があったらよろしくお願いします。