でっきぶらし(News Paper)

« 93号の1ページへ93号の3ページへ »

三度目の正直ならず!(シシオザル)

 シシオザルの雌が三度目の出産をしました。一度目は一昨年で子供は雄でした。その時は産みっぱなしでまったく子供の面倒を見ようとはせず、子供は人工哺育となりました。その子はゴクウと名付けられ、現在白浜アドベンチャーワールドで元気に暮らしています。2度目は去年、子供を見つけた時にはすでに死んでしまっていました。
 今回3度目の出産は6月19日でした。いつも出産は早朝に行なわれるようです。今回の朝、担当者が出勤した時にはすでに生まれていました。今回も前二回と違って母親が子供をしっかりと抱いていました。これはうまくいった、3度目の正直だ!と思い、喜んで見ていました。が、抱き方がぎこちなく、うまく抱いていない為、子供の口が胸の乳首にとどきません。子供は、お腹をすかせて乳首をさがすのですが、あと一息というところでうまくいきません。見ている方も力が入る場面でしたが、どうすることもできません。ひたすら見守っていると、期待に反してお母さんはますます子供を乳首から遠ざけていきます。お昼頃になると子供をまたの間にはさんでいるような有様で、とうとう最後には子供を置き去りにしたり、子供の尾をかじってみたりと危険な状態になった為、もはやこれまでと覚悟を決めて母親から子供を取り上げ、人工哺育としました。
 子供は雌で体重は428グラム。前回育った雄と比較してもわりと大きく元気も良かったので、なおさら人工哺育となってしまったことがくやまれます。しかし野生では非常に数の減っている種の子供が生まれ、元気に育っているということだけでもとにかく喜ばしいことであり、一応の成果だと考えることは自画自賛でしょうか。今回生まれた子はユッコと名付けられました。今後はユッコがある程度大きくなった時に、いかにしてサルの社会に帰してやるかを考えなければなりません。前途多難ではありますが、ユッコの無事な成長を見守りつつ、母親が次回の出産では上手な子育てを見せてくれることを期待しています。

« 93号の1ページへ93号の3ページへ »