でっきぶらし(News Paper)

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出産(ふ化) それぞれの経過(?U)【オオハナインコ フロックにはし

 オオハナインコ、何度目の抱卵に入っていたのでしょう。幸運とも言える最初のふ化の後は、今ひとつすっきりしない歩みでした。死ごもりや無精であったりが続いていたのです。
 こんな時、一番口惜しい気持ちになっているのが担当者です。前後の事情、状況をしっかり把握しているのも担当者です。次に打つ一手、担当者の創意工夫に委ねられます。
 最初のひなの巣立ちの際にもろもろの問題が生じて、いろいろ工夫。くる病の予防にはツルーライト(紫外線が出る)を照らし、しっかりひながかえるよう巣箱、巣台も改良に改良を重ねました。
 今度こそ大丈夫と待った六月下旬。が、巣箱からは一向にひなの声は聞こえません。今回も駄目かもしれないと諦めかかった頃にようやくひなの声がしたのです。巣箱を軽くたたくと、小さいながらね確かに反応する声が聞こえました。
 三〜四日経って担当者が確認にそっと巣箱を開けるとひなが二羽、大きさはかなり違っていましたが元気そうです。もう一羽は、一日が二日遅れてかえったのでしょう。
 久々の朗報です。けれど喜びに浸るにはまだ少々早すぎます。これは抱卵させる際の巣箱や巣台の問題を解決したに過ぎないのです。どうやって無事に巣立ちさせるか、それこそが最大の課題なのです。
 小さい内の写真を撮ろうにも、親鳥のガードは固く滅多に巣から離れようとはしません。離れてもすぐに戻ってしまいます。母性愛も満点、これにも何の心配もありません。
 何ヶ月か後に向かえる巣立ち、そこが最大の難関です。狭い限られた場所でどう羽ばたかせるか、ツル―ライトはしっかり骨を育ててくれるか、担当者は自らの創意工夫によりよい答えを出してくれるよう祈るような気持ちになっているでしょう。今は一日いちにちを大事にすること、それだけです。
(松下憲行)

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