でっきぶらし(News Paper)

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最大派閥 影の地球支配者!?トカゲ帝国の仲間たち 日本平動物園ボラン

 このシリーズも三回目を迎えしまた。一部の方には大変受けている様ですが(?)皆さんはどうでしょうか?御意見、御希望等ありましたらぜひ聞かせて下さい。
 さて、今回は、カメ、ヘビとくればそうトカゲについてです。三七○○種を越える爬虫類最大のグループである彼らについて一つ一つ書いていくと紙面がパンクしますので、その中からよく聞かれる事について書いてみます。

Q.ヤモリの名前の由来は?またなぜガラスを登れるの?
A.記憶違いかもしれませんが、漢字で「屋守」と書きます。それは昔ゴキブリ等害虫を食べてくれたからだと思います。以前家にトッケイヤモリを放し飼いにしていましたが、確かにゴキブリは激減しました。(家族は最初「ワニが逃げてる!」と大騒ぎしましたが…)ちなみに英語ではGekko(ゲッコー)と言います。これは鳴き声から来ているもので、夜中に鳴いた時は、これも大騒ぎでした。それからガラスを登れるのは、指に15万本以上の剛毛と呼ばれる長さ0.03〜0.13ミリの突起が生えていて、これをガラスの表面の細かい突起に血圧で押し付けているからです。これを使えば天井を歩く事も可能ですが、たまに落ちてきます。(私が寝ている時、顔の上に落ちてきた事もありました。)
Q.カナヘビとトカゲの違いは?
A.分かり易い様にニホンカナヘビとニホントカゲの違いについて説明しますが、ニホンカナヘビはカナヘビ科、ニホントカゲはスキンク科に分かれます。ニホンカナヘビは茶色の太い線が入り、体表はつやがあまりありませんが、ニホントカゲは黒い太い線で、体表にはつやがあります。そして幼体時は尾が青色です。住宅地で見られるのは大体ニホンカナヘビです。カナヘビの名の由来は、「かわいいへび」が「かなへび」になった様です。
Q.なぜ尾が切れるのですか?
A.外敵の注意を切れた尾の方に向かせ、その間に逃げる為です。尾は数分間ケイレンするので、特に猫のおもちゃにはもってこいです。そして切れた時血がほとんどでないのは、切れた瞬間に筋肉が収縮して血管を締めてしまうからです。尾に血が流れていない訳ではありません。さて当のトカゲの方ですが、尾の再生時、かなりのエネルギーを使う様です。特に尾に栄養分を貯める種類についてはその親から生まれた子供はほとんど死んでしまうそうです。しかも尾の骨は再生しないのでトカゲにしてみればいい迷惑。ですから興味本位でむやみに切ったりしない様に…。種類によっては(イグアナ、オオトカゲ等)再生しませんので注意して下さい。(その前にかまれると思いますが…)
Q.トカゲなのになぜ「トカゲモドキ」?
A.爬虫類館にいるヒョウモントカゲモドキ、あれはヤモリの仲間です。ヤモリなのに前記した剛毛を持っていないのでガラスを登る事が出来ません。見た目はトカゲの仲間みたいなのにヤモリの仲間、だからトカゲモドキなのです。(ヤモリもトカゲの仲間なのに、という声が聞こえてきそうですが、分類上の話ですので)これも飼育した事がありますが、指がすぐに脱皮不全になるので、手足を湯につけてピンセットではがすのが大変でした。(動物園ではそのような事はないそうです。飼育環境の違いでしょうか?)
Q.ヘビトカゲというトカゲがいるそうですが…
A.アンギストカゲ科という科の中の数種類を言います。足がほとんど無く、一見するとヘビの様ですが、よく見るとまぶたと外耳があるので区別ができます。日本によく輸入されるのはヨーロッパヘビ(アシナシ)トカゲで全長約1メートル、足の跡がわずかに有り、昆虫、ネズミ、ナメクジ、卵などをたべます。どこかで見かけたらよく観察してみて下さい。
Q.トカゲを飼育してみたいのですが…
A.日本産トカゲを捕らえて飼育する場合、特に保温は必要ないと思いますが、(もちろん日光浴は必要です)問題はエサの確保です。かなりの種類が昆虫や小動物を食べる肉食ですので、それらを揃える事が出来るかどうかでトカゲの生死がわかれますから、衝動飼いをするとトカゲが可哀想です。観察飼育は自然を知る上で大切な事ですが、弱っていく過程の観察では何にもなりません。ですから飼育する時は事前に生態をよく調べておいて、無理な物は飼育しない方がトカゲの為です。
爬虫類の仲間で日本で一番エサの確保が難しいのはトカゲなのですから。
Q.先日カメレオンが保護されましたが、カメレオンは手に入るのですか?
A.緑色のトカゲを見れば「カメレオン?」と言う様にポピュラーなトカゲですが、現在全種類がサイテス(ワシントン条約)で保護されています。ですから書類が揃わなければ日本には輸入されないので、手に入れるのは非常に難しいです。また、もし手に入ったとしても昆虫食ですのでエサの確保が非常に大変です。ドイツのある動物園では、飼育ケースと屋外をパイプでつなぎ、生ゴミでハエをケージの中へパイプを通してさそい入れ、それを食べさせているそうです。又私の知人が以前飼育していた時は無理矢理口を開けさせそこへ鳥を押し込んで与えていました。そのような事を考えるとトカゲ飼育経験の浅い人にはとても無理だと思います。
人馴れするとヒモ無しで散歩が出切るコモドオオトカゲ、一日何百匹ものアリを食べるモロクトカゲ、喉の赤い膜を広げ仲間とコミュニケーションをとるグリーンアノ―ル、見かけによらず菜食主義者のグリーンイグアナなど実にいろいろな種類のトカゲがいます。が、たかがトカゲと思うなかれ、彼らがいなくなれば地球は害虫だらけになってしまうでしょう。食物連鎖の中で重要な位置を占めているトカゲ達を見かけただけで嫌わず、もっと興味をもってくれれば幸いです。それともあなたは農薬だらけの野菜を食べ続けられますか。

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