でっきぶらし(News Paper)

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開園以来の動物【ダイアナモンキー】

 ブラッザグェノンに負けず劣らず賑やかなファミリーを形成しているダイアナモンキー、その元親がまだ生きていると言われれば驚かれるでしょうか。驚くも驚かれないも、間違いなく生きています。
 この「でっきぶらし」で何度も語っていますが、とにかく子育ての下手などうしようもない母親でした。しかし、なんとか一人前の母親になる過程は、私達に育児とは何かを考える題材を提供していました。
 最初は子を床に落として死亡させ、二度目、三度目、四度目は人工哺育です。その中の四度目は子を水飲み場につけたりしたので死亡、もう誰しも隣舎のマントヒヒと同じ道を歩むのを疑わなかったでしょう。それが何かの弾みでオス親も一緒にして生ませると、危なっかしいながらも子の面倒を見るように。オスがそばにいることで安心して心にゆとりができたのが、育児能力を目覚めさせるきっかけになったようでした。そうして育てられたのが、今一緒にいる長女と次女です。
 晩年になって、潜在する女としてのパワーの凄さを見せてくれました。二年前、推定年齢二十四才の彼女が出産したのです。背骨が曲がり、誰の目にも老いているのがはっきり分かる彼女がです。
 結局は人工哺育になりましたが、それはともかく五体満足の子をちゃんと生んだのです。私達の持っている薄っぺらな常識、そんなものを突き破って笑われているようでした。
 ニホンザルはサルの中でも研究は非常に進み、比較的長寿であることが知られていますが、ダイアナモンキーに関しての資料は乏しいと言わざるを得ません。
 そんな現状に彼女のほうから逆の問いかけをされているようです。もっと勉強しなさい、もっとよく私達を見なさいと。推定二十六才、これぐらいはふつうに生きるのかもしれません。

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