94号(1993年07月)14ページ
友の会コーナー 第34回「日本動物園水族館教育研究会」に出席【基調
マレーシアのボルネオ島に、オランウータンセンターという所があります。ここでは主に病気やケガをしたオランウータンの治療、病気や密猟で母親を無くしてしまったオランウータンの子供達を育てて自然に復帰させるという仕事をしています。今回お話をして下さった北浦さんは、このオランウータンセンターで仕事をされていた方です。ここでは、今までに約260頭ものオランウータンが保護され、そのうち100頭が森に帰ったとされています。しかし「森に帰った」オランウータンもセンターに戻って来てしまったり、センターの人が定期的に森の中の置いているエサに頼って生活していたりして、一口に「自然復帰」といっても簡単なものではない様です。特に最近は保護されるオランウータン数がどんどん増える一方、森に帰る数は減ってきているという事です。その大きな原因はやはり環境破壊。オランウータンの住む森がどんどん狭められ、畑に変わったり道路が縦横に走ったり…せっかく訓練をしても、帰る森が無ければどうしようもありません。人間の生活と野生動物の両方を守るにはどうしたらいいのか…考えさせられました。