でっきぶらし(News Paper)

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北海道よりカムイ来たる!!

 昨年12月より母一人、娘一人の二人暮しだったチンパンジーですが、この10月に新しい家族となるべく男の子を迎えました。札幌市の円山動物園からやって来た彼の名は、いかにも北海道出身らしく「カムイ」と言います。カムイは5才。おしりや顎に子供のしるしである白い毛がまだ少しのこっています。もとからいる娘のピーチと同じ年齢で、いずれはピーチの旦那様になる予定です。人の世で言う婿養子と言ったところでしょうか。性格はおとなしく、人にもよく馴れているようで、飼育する立場から見るとわりとやりやすい子です。
 彼は日本平動物園にやって来て、はじめの2週間を動物病院の検疫室ですごしました。チンパンジーの5才というと人間の5才児とは大違いで、体こそまだ大きくはありませんが動作はもう十分に一人前です。とてもすばしっこく、力も人間の大人に少しかなわないかといった程度に成長します。ですから2週間ものあいだ、せまい検疫用の檻に入れておくと、大暴れしてさぞ賑やかなことだろうと思っていました。しかし実際には掃除をする時に多少さわぐ程度で、はじめから最後まで檻をガタガタならす事も少なく、大声をあげることも無く、いたって平穏に検疫が終了しました。この間にカムイは健康状態その他の検査を受け、万全を期して?類人猿舎へ移されました。
 類人猿舎ではもとから住んでいる母と娘はいつも同じ寝室にいっしょに入っています。カムイはその隣の室に入って檻越しにこの2人と見合いをすることになりました。夕方、放飼場から帰って来た母娘2人は隣室にいるカムイを見て、しばらくは何事もないような様子を見せていたようでした。しかし、やがて2人の方へ近づいて来て檻に手足を掛けたカムイに対して、母親のパンジーが「こいつは何者だ」とばかりにガブリと噛みついてしまいました。なかなか手足の腫れが引かないカムイに対してパンジーは気を許す気配を見せません。娘のピーチは母親の真似をしてカムイを驚かせることはあっても、それ程攻撃的なところは見られないのですが…。パンジーの初対面の者に対する警戒心も、カムイの精神的なダメージもなかなか大きそうです。これから同居に向けてまだまだ苦労も多く、時間もかかりそうです。

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