95号(1993年09月)16ページ
友の会コーナー 第34回「日本動物園水族館教育研究会」に出席(その2)
オオサンショウウオはカエルやイモリの仲間(両生類)です。そしてこの生き物は、動物の国宝“特別天然記念物”になっています。一生を水の中で暮らすオオサンショウウオは、少し前まで地方の民家のすぐ近くを流れる小川にも沢山住んでいました。ところが身近な存在だったわりには、どのくらい生きるのか、オスとメスはどう違うのかといったことがまるで分からない謎の動物だったのです。園内でこのオオサンショウウオを飼育している安佐動物公園ではオオサンショウウオの野外調査を始めました。調査が進むにつれてオオサンショウウオは産卵の時季になると川を上ること、巣穴の中に産みおとされた卵はオスが守るということなどが分かってきました。ところがやっと分かり始めたオオサンショウウオを包む“今”の環境はあまりいいものでなかったようです。水田に水を引くための小さなダムに邪魔をされて川を上れないサンショウウオが血だらけでダムを見上げています。巣穴で卵を守っていたオスに気付かず、護岸工事の人達は巣穴ごと彼を埋めてしまいました。そんな寂しい“今”の中にも素敵な話がありました。昭和60年松歳川(広島)の河川改修のときの話です。川の工事が決まった時、町の人達は何とかオオサンショウウオを守れないだろうかと考えました。そして少しずつお金を出し合い、足りないお金は土地の持ち主が一部負担をして新しい川をつくりました。安佐動物公園の意見もとりいれて生まれ変わった川はコンクリートの岸ですが川底はごろ石で魚や昆虫が住んでいます。段差の横にはオオサンショウウオ用にスロープが作られ、コンクリートの岸に人工巣穴まであります。そして驚いたことにちゃんとこの巣穴にオオサンショウウオが住み着いて毎年産卵を続けているのだそうです。
この様な話を安佐動物公園ではスライドを使った20分程のレクチャーにまとめ、希望のあった団体に講演しているそうです。
2回にわたって「日本動物園水族館教育研究会」の内容の一部をご紹介しましたが、この他にも沢山の方の発表がありました。資料も少しありますので、興味を持たれた方は一声かけて下さい。