96号(1993年11月)4ページ
人工哺育・その個体を追う(モンキー編)
今までに何度も語っていますが、人工飼育された動物に対する私達の気持ちは複雑です。大きくするのはよいとして、その後に大きな不安が伴う為にです。
‘刷り込み‘って聞かれたことがあるでしょうか。鳥類はふ化してから二十四時間以内に見た最初のものを親と思い込む習性があります。ひなの成育はそこから始まります。
相手がヒトなら、ひなは自らをヒトと思い込んで成育してゆきます。もしハクチョウのひながアヒルを親と思い込んだら、そのひなはとことんアヒルとして成長してゆきます。童話のように成長してから目覚めるなんてことはあり得ません。
サル、サルは学習して身につけるものが多いだけに、他の動物に増して成長してから難題を投げかけてきます。仲間同士の付き合い方、交尾の方法、はたまた育児の方法と、どれを取っても頭の痛い問題ばかりです。でも、成功例だってあるのです。