98号(1994年03月)6ページ
草食獣比べてみれば◎ポニー(小型のウマ)
反芻することは、そんなに素晴らしいことなのでしょうか。絶対に有利なことなのでしょうか。いろんな本に目を通してゆくと、必ずしもそうとは言い切れないとする反論に出会うことがあります。
誰しもが知っているウマ、彼らは反芻しません。盲腸が発達していて、セルロース、ヘミセルロースなどの植物性繊維を分解し、消化しています。
草原を疾駆するウマ、確かに口をもぐもぐなんて見たことはありません。見たことがない訳です。反芻しないのですから。
では、どのようにして反芻獣に対抗していると言うのでしょう。これは全くの文献の受け売りですが、消化のスピードが違うとされています。
つまり、反芻獣は消化に時間がかかるのです。口の中でもぐもぐやっている間に、ウマのほうは胃から腸へスイスイ運んですぐに胃の中は空っぽって訳です。
質のよい草を食べている時は反芻獣は有利だが、たんぱく質の少ないカロリーの低い草を食べる時などはウマのほうが多量に摂取できるので有利って訳なのです。
うんこからは、納得できます。今、私が担当しているポニーのうんこ、ゾウのよりははるかにましでそこそこ消化されたうんこをしますが、バイソンのと比べたらお話になりませんから。
でも、草原を見渡しても、ウマ、奇蹄獣の世界はまだらです。ポニーを含む家畜馬の原種はターパンと言われるウマだそうですが、残念ながらもう絶滅してしまっていません。近縁種のモウコノウマにしても細々と生き残っているだけです。
奇蹄獣で偶蹄獣に負けず劣らず、今、繁栄を誇っているのは、サバンナシマウマただ一種のみです。これもウマと名はついていますが、実際はロバの仲間です。