でっきぶらし(News Paper)

« 98号の7ページへ98号の9ページへ »

草食獣比べてみれば◎マレーバク

形はクマ、尾はウシ、脚はトラ、鼻はゾウ、目はサイ、そして人の悪夢を食べる動物ってどんな動物?答えはバクです。
一般にこの話は意外とよく知られているようです。
このバクに数年間、代番(担当者が休みの時の代わり)として付き合って、大変疑問の湧いてくる動物でした。一見頑丈そうに見えながら接するとやたら弱さが目立ったのです。
最初は、たまたま弱い個体ばかりに当たっているのかもと思いました。しかしながら、よく見、よく接してゆくとどの個体にも見受けられる一様のもろさがありました。
マレーバクは、その名が示すように東南アジアが原産地です。寒さにはそう強くないでしょう。と言ったって、何度も冬を越せばそれなりに慣れて適応してもよさそうなものです。
なのに蹄の裏側がぱっくり割れるひび割れは年々ひどくなるばかりで、吹きさらしの寒いところに座り込んでしまうと、そのまま動けなくなってしまうことも度々ありまいた。
それだけではありません。他のどの草食獣よりも下痢しやすいのです。性格は穏やかなものの、愚鈍な動きにも首をかしげざるを得ないものがありました。
ある文献によれば、何千万年前かのウマの祖先形によく似ているそうです。草食獣の体になりきっていない動物としても紹介されています。古い時代の動物の根拠として、大脳皮質が極めて少ないことも上げられています。
私が最も知りたいのは、保温システム。妙に分厚い皮質と少ない脂肪を見て、体温を作りそれを体内に貯えておくのに、なにか大きな問題を抱えている動物に思えてならないのです。
亜熱帯の湿地帯から一歩でも出たら、待っているのは悲劇だけ?否定はできないでしょう。この仲間は遠く離れた中南米にしかおらず、それも細々と生存しているだけです。

« 98号の7ページへ98号の9ページへ »