130号(1999年07月)15ページ
日本平の好記録・珍記録 〜 フンボルトペンギンの飼育と繁殖 〜
(飼育課 小島昭一)
フンボルトペンギンの飼育は開園以来30年を迎えます。開園時雄1、雌5、不明4の計10羽の飼育から始まりました。現在のペンギン舎の位置に氷山を模った巣穴けん岩山とプールからなる一般的な展示場でしたが、現在では、フンボルトペンギンが生息する南米地方の植物のパンパスをバックに巣穴けん岩山も茶色に変更してきました。
今回は30年間という長期間の繁殖記録をまとめてみましたので報告します。繁殖が始まったのは開園後5年目の1973年からです。69年から72年の間に5羽がアスペルギルス症などの病気により死亡したため、6羽の新しい個体を導入したことなどもあり群の中でペアーの関係もなかなかうまくいかずやっと73年の6月に初めての繁殖が見られ、本格的に繁殖が見られる様になったのは、77年以降となっています。それ以降は毎年の様に繁殖が続けられています。73年から99年における繁殖記録を表1に上げておきました。フンボルトペンギンの繁殖は主に親が育てる自然育雛ですが中には繁殖時期、親鳥の育雛放棄、親鳥の死亡などということも長い間には何回かありました。人工育雛による記録を調べたところ8例があり、その中で4羽が無事成長しています。また人工育雛で育った個体も成長すると他の個体とペアーを組み繁殖に成功している例も数多く見られています。この2、3年は自然育雛による成績が良く、常時20羽近い群の姿が見られる様になってきました。
<表1 フンボルトペンギンの繁殖> ( )成育数
年 フ化数 自然 人工 成育数 6ヶ月以内で死亡した
(生存6ヶ月以上) 生存日数
1973 2 2 0 0 6,6
1974 1 1 0 0 15
1977 6 5(1) 1(1) 2 8,10,10,11
1978 3 3 0 0 18,23,25
1979 2 2(1) 0 1 2
1982 2 1 1(1) 1 9
1983 1 1 0 0 12
1984 3 1(1) 2 1 3,6
1986 2 -- 2 0 3,50
1987 1 1 0 0 8
1988 8 8(3) 0 3 7,7,8,8,16
1989 4 4(1) 0 1 7,8,8
1990 6 6(3) 0 3 5,7,7
1991 2 2 0 0 4,6
1992 7 7(4) 0 4 29,39,101
1993 6 5(3) 1(1) 4 2,15
1994 6 6(1) 0 1 5,6,9,9,17
1995 17 16(4) 1(1) 5 1,1,6,6,12,14,16,16,
18,18,21,22
1996 7 7(3) 0 3 0,6,6,14
1997 4 4(3) 0 3 3
1998 8 8(3) 0 3 5,6,8,8,32
1999 3 3 0 0 4,9,34
合計 101 93(31) 8(4) 35 0〜101 平均12.94日