でっきぶらし(News Paper)

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ニーナの放飼場デビュー!

 6月16日ピューマの赤ちゃんの命名式がありました。皆さんから約5000票もの投票があり、その中でもダントツだった名前がニーナ!誕生日の「2月7日」と小惑星「ニーナ」が由来の名前に決まりました。今回はニーナの放飼場デビューについてお話ししたいと思います。

 5月27日、それまで室内展示室と寝室で暮らしていたニーナは、お母さんのベガと一緒に初めて放飼場へ出ました。室内展示室では擬岩の上からお客様を観察するのがお気に入りだったニーナ。放飼場へ出たら心惹かれそうなものがたくさんありますので、どんな反応をするのか私たち飼育員もとても楽しみでした。放飼場へ出る扉が開くとベガがすぐに出ていきました。ニーナはベガに置いて行かれて通路の中をウロウロしたり、震えたり、時々鳴いたりして不安そうにベガを呼んでいました。ニーナに何度も呼ばれてしぶしぶ通路に戻ってきたベガ。今度はニーナと一緒にゆっくりと外へ出ていきました。外へ出るとニーナはへっぴり腰になっていて、必死でベガの後をついて歩きます。ベガはニーナがついてきているかどうか確認しながらゆっくりと放飼場を2,3周していましたが、そのあとすぐに擬岩を登ってお気に入りのスペースへ移動してしまいました。ニーナもベガに続いて擬岩を登ろうとしますが、どこから登ったらいいのかわかりません。ベガを見つめ震えながら不安げに鳴いていましたが、ベガはもうくつろいでしまっています。しばらくするとベガは4階のテラスへ登ってしまい、ニーナからは完全に見えないところで休み始めました。室内展示室ではベガに何度もタックルをするほど元気いっぱい遊んでいたニーナが嘘のように大人しく、その場にいた飼育員と獣医が心配になるくらいでした。ベガが降りてくるまでの間、ニーナはとにかく歩き回ってベガを探しているようでしたが、結局この日は自力で擬岩を登ることができず、降りてきたベガに寄り添って甘えていました。午後になると、だいぶ放飼場に慣れてきたようで、地面に横になってくつろぐ様子や擬岩の陰からベガに飛び掛かる様子が見られました。

 次の日、また昨日のようになかなか外へ出ないのかな~?と予想していましたが、扉が開くとベガと一緒に走って出ていきました。昨日とは全く違う姿にびっくりしながら様子を見ていると、ニーナは楽しそうにベガの周りを走り回っていました。この調子ならベガが上にいかない限り大丈夫そうだな~と思い、1時間くらいしてから戻ってみると、なんと2頭共4階に上がっていてくつろいでいました!1日半で擬岩の登り方をマスターしたニーナ。きっとベガの後ろをついていくうちに擬岩を登って4階までたどり着いたのでしょう。さすが運動神経抜群のピューマの子です。そのままもう1時間様子をみて、収容時間になりました。2頭共4階にいましたがとりあえず扉を開けてみました。ベガはすぐに降りてきて入舎しようとしましたが、ニーナは4階でウロウロ歩き回っています。どうやら降り方がわからなかったようです。このまま扉を開けっぱなしにして待っているわけにもいかないので、一旦ベガが外へ出て行ったタイミングで扉を閉めてニーナが降りてくるのを待つことにしました。ベガは不安そうに鳴いているニーナを見つけるとすぐに近寄り、ゆっくりと何度も降りる様子をニーナに見せていましたが、ニーナはまだ体が小さいため、ベガのように擬岩と擬岩の間をジャンプすることはできません。ニーナは一生懸命、ベガの後に続いて降りようとがんばっていますが、ベガと同じコースからでは絶対に降りられないのでなんとかして降りる方法を見つけないといけません。扉を閉めてから30分が経ちました。そろそろ入舎してもらわないと、お父さんのアルタイルが外へ出る時間が近づいてきています。一か八か扉を開けてみると、再びベガがすぐに通路に入ってきました。ニーナはベガの姿が見えなくなったため不安そうにフェンスの上をウロウロしています。何度も鳴いてベガのことを呼ぶニーナ。するとベガが通路から外へ出てきてくれました。しかし、先ほどとは違い、地面からニーナに向かって鳴き返すだけで迎えにいってはくれません。そのままの状態で10分くらい経ったところでようやくニーナがフェンスの部分をずり落ちるように降りてきました。降りてきたニーナにベガがすぐに近寄り、そのまま2頭で入舎しました。どうなることかと心配になりましたが、怪我もなく、ニーナがなんとか自分で降りる方法を見つけてくれてホッとしました。

 最近ではすっかり放飼場へ慣れて擬岩の降り方もマスターし、4階の壁際のとても細いところでもベガと追いかけっこをするくらいになりました。これからもっと活発な動きも見られると思いますので、みなさんもぜひ元気いっぱいなニーナと優しく見守るベガに会いに来てください!

大谷 舞

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