256号(2020年10月)1ページ
クチヒロカイマンの赤ちゃん誕生
は虫類館からうれしいニュースをお届けします!8月4日から9日にかけてクチヒロカイマンの赤ちゃんが生まれました。日本平動物園では1990年以来の30年ぶりの誕生となります。
は虫類館で飼育しているクチヒロカイマンのペアが5月に産卵をしました。早速この卵を回収してふ卵器に入れました。ふ卵器というのは卵を温める機械のことです。クチヒロカイマンは野生だと湿った落ち葉の中などに産卵し、その中に産み落とされた卵は発酵熱を利用して温められます。しかし、飼育場ではなかなか自然と同じ環境を作り出すことは難しいので今回はふ卵器を使って卵を温めました。
そして、卵を温め始めてから76日目になる8月4日に最初の卵が孵化をしました。卵の中から鳴き声が聞こえて頭で卵を割って出てくる姿はさながらジュラシックパークのよう。生まれてすぐ水を張った水槽に入れると、しっかりした足取りで水中を移動し、その姿はワニそのものですごく驚きました。手を近づけるといっちょ前に威嚇もしてきます。このあと8月7日、9日と孵化をして合計3匹の赤ちゃんが生まれました。
僕自身、ワニの赤ちゃんを見るのは初めてで、もちろん飼育していくのも初めてです。分からないことが多い中で、ワニを飼育している他の動物園に教えてもらいながら現在飼育をしています。哺乳類では生まれてすぐに固形のものは食べずに母乳を飲むなどして成長し、ある程度大きくなってから親と同じ固形のものを食べていくようになりますよね。ですがワニの赤ちゃんはとてもたくましく、生まれて3~4日するといきなりエサであるコオロギを食べ始めます。しかも水槽にコオロギを入れると割と躊躇なくがぶっと行きます。初めて見るはずのコオロギをエサだと認識して、すぐ食べられるというのは本能のすごいところです。今は体の大きさが25cm程度とまだまだ小さいですが、これからエサの種類をお魚やお肉に変えていき栄養をつけてもらってどんどん成長してもらいたいです。
新型コロナウイルスの影響で、は虫類館は現在閉館しており、赤ちゃんワニを皆さんに直接お見せできないのがなんとも心苦しいですが、できる限り早くお見せすることができるように頑張っていきたいと思いますので楽しみにお待ちください!
(片野 孝太郎)