でっきぶらし(News Paper)

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寝室に帰りたくないときもある?

 今回は、猛獣館で担当している動物(ジャガー・ピューマ・ゴマフアザラシ)とサブ担当動物(ライオン・アムールトラ・ミーアキャット)の1日の飼育作業での「動物の寝室に帰るときのエピソード」を紹介します。これらの動物のうち、ゴマフアザラシとミーアキャット以外は、朝に外の展示場に出て昼前から夕方にかけて自分の寝る部屋(寝室)に戻ってきます(オスとメスの入れ替え作業などがあるため)。しかしその様子は、動物や季節によって様々です。

 ユニークなのは、ライオンのオス「ギル」です。寝室から外の展示場に移動していくときは、扉を開けると勢いよく飛び出していきます。「そうだよね、早く外に行きたいもんね!」と思わんばかりのスピードです。そして日中は、岩の一番上で伏せをしてポーズ。どうだ!と言わんばかりに周りを見回しています。ところが、秋~冬の時期は様子が一変します。日の入りの時間が近づくにつれて、岩から降りてきて展示場をウロウロ。しまいには、扉の前でウロウロ。早く寝室に入れてアピールをします!こんな時は、扉を開けるとダッシュで寝室に入っていきます。

 一方、暑い夏の時期は、秋~冬の時期とあべこべ?になります。本来は1年を通して暑い場所に生息しているためか、寝室に帰る時間になっても扉の前でウロウロしなくなり、岩や土の上でリラックスしています。扉を開けて「ギル―!!」と声をかけると、一応こちらを見ますが、聞こえないフリ?空耳?というほど完全無視です!何度声をかけても同じ反応です。こんなときは、一度バックヤードからの声掛けをやめて観覧通路にいってギルの前に姿を現します。すると反応があったりなかったりですが・・。反応があるときは、ゆっくりと歩いて寝室に戻りますが、私が観覧通路からバックヤードに戻って扉を閉めようとする間に、何を思ったのか、ギルは急いで寝室から再び外に出ていったりします。ぽかーんとしている私を見て、「してやったり!」のギルです。そして私は仕切り直しのテイク2です。

 またライオンのメス「ムール」は、外の展示場から中の室内展示室に戻ってこない日があります。そんな時は、暗闇作戦です。バックヤードの電気を消して真っ暗にして待ちます。しばらく隠れて見ていると、ゆっくり寝室に戻ってきます。たまに10分程隠れているときもあります。また暗闇作戦以外にも、最近は、一度バックヤードから観覧通路にいってムールに自分の背中を見せると反応して寝室に戻ってきます。ん~、背中で何か語ってほしいのでしょうか!

 動物たちも季節やその日、その時間帯の体調や気分によって行動が様々です。入舎の行動ひとつとっても、個性的で魅力的です!
      
中根 建宜

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