2022.12.02
【ブログ】ブチハイエナの無麻酔採血について
10月と11月に当園のブチハイエナの無麻酔採血に成功したので、今回は成功までの紆余曲折をご紹介します。
当園では「ツキ(兄)」と「セレン(弟)」という2頭のブチハイエナを飼育しています。人懐っこい2頭は、以前からできる範囲で身体を触ったり、撫でたり、時には針でチクチクしたりと採血や身体検査のための馴致(慣らすこと)を行ってきました。自分が担当になってからも継続し、耳を檻の外に出した状態での採血に挑戦したこともあります。しかしどうにもうまくいきません。採血をしようとしても、撫でている最中に「あぁ~、そこそこ。じゃあ次はこっちで」といった具合で動いてしまい、採血はおろか針を挿すのすら難しい状況。やっぱり彼らが大好きな「お肉」をうまいこと使わないと難しいか…と考えていた矢先、他の飼育員から「高知の動物園がハイエナの採血に成功してたよ」という知らせが。すぐさま調べると高知県立のいち動物公園のホームページに首から採血を行う動画が載っていました。なんとペースト状にしたエサをシリンジ(針の無い注射器)で与え、それをペロペロしている間に採血を行っていたのです。「こ、この手があったか…でもこの方法ならできるかもしれない!」と思い、のいち動物公園のハイエナ担当者に連絡し、詳細や秘訣を教えていただきました。結果的にその方法と以前から行っていたハズバンダリー・トレーニング(飼育管理や治療のために動物が極力ストレスなく、自ら進んで、特定の行動ができるようにするトレーニング)を組み合わせて、ツキとセレンの首からの採血に成功しました。18歳と15歳と高齢ではありますが、血液検査に異常は見られなかったのでとりあえず一安心。ちなみに体重測定もできるようになり、ツキが54kg、セレンは56.5kgでした。思ったより軽かったですが、こちらも健康の範囲内だったので一安心。今後は定期的な血液検査と体重測定の両面から健康管理ができればいいなと考えています。
ブチハイエナのトレーニングは週3~4日、寝室で行っています。お客様からも見える寝室ですので、運が良ければ16:00頃にトレーニングを見ることができるかもしれません。ぜひハイエナ舎をのぞきにきてください。
また今回の件でアドバイスをくださった、高知県立のいち動物公園の担当者さま、ありがとうございました。