でっきぶらし(News Paper)

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239号(2017年12月)1ページ

ただいま訓練中!!!

 この秋ふれあい動物園に、那須どうぶつ王国からハリスホーク、アフリカワシミミズク、ルリコンゴウインコが、それぞれ1羽ずつやってきました。ハリスホークはシオン、アフリカワシミミズクはイージー、ルリコンゴウインコはヴィヴィという名前がついています。シオンは推定7歳以上でメスと確定していますが、イージーとヴィヴィはともに1歳で雌雄不明です。
3羽が来た目的はバードパフォーマンスで、今は飛ばすための訓練中です。訓練中といいましても、3羽の鳥たちはすでに那須どうぶつ王国でフライト訓練済みなので、訓練しなくてはいけないのは、私たち飼育員です。革でできたグローブをはめて、手の上に鳥を乗せることを、「据える」といいます。据えた状態で鳥がバランスを崩すことなく、安心して止まって居られるようにするのが第一の段階です。据えたまま歩くことを「据え回し」といい、これが第二の段階です。この二つができなければ、鳥を飛ばすことはできません!
この二つを習得するために、私たちが練習で使用したのは、紙コップです。左手をグーに握り、半分くらいまで水を入れた紙コップをこぶしに乗せ、静かに歩きます。歩く振動で紙コップがぐらぐらし、中の水をこぼしてしまうことが多かったですが、練習していくうちに水をこぼすことも減り、歩くスピードも上がってきました。始めは半分だけだった水の量も、日を追うごとに増えていき、最終的には八分目くらいまで増やしてもこぼすことなく歩けるようになりました!こぼさずに歩けることは、安心して鳥がグローブに乗ることに繋がるので、据え回しをする上での必須事項です。この段階まで来て初めて、実際の鳥を手に乗せて歩くことができるのです。
 据え回しをクリアできたら、いよいよ本番!フライトです!!鳥を飛ばす・鳥を受ける、それぞれにコツや注意点があり、毎回試行錯誤しながら練習しています。シオンは、フライト経験豊富なベテランさんなので、初心者である私たち飼育員でも問題なく飛んでくれます。お利口さんなシオンに、いつも助けられてばかりです。イージーは、やる気スイッチのオン・オフが激しい、気分屋さんです。イージーのフライトはシオンに比べると、やる気がオンのときでも難しいため、オフのときは本当に困ります。私たちにもう少し技術があれば、オフのときのイージーでもうまく飛ばすことができるかもしれませんが・・・。
 先にあげた2羽は、一般的に猛禽類と呼ばれる種で、フライトの報酬はエサです。エサがなくては飛んできません。逆を言うと、エサを持っていれば飛んでくるということです。後の1羽であるヴィヴィは、猛禽類ではなくインコです。インコも猛禽類同様フライトの報酬はエサなのですが、エサだけでは満足しません。インコにとっては、ヒトに褒めてもらうことも大切な要因で、ときにはエサよりも比重が大きくなります。ヴィヴィはまさしく、エサを貰うよりヒトに褒められたいタイプだったため、まずは仲良くなることから始めていきました。ヴィヴィはとても分かりやすく、好きな人のところにはすぐに飛んでいくのに、あまり好きではない人のところにはなかなか飛んでいきません。本当に嫌なときは、触らしてももらえず、そっぽを向かれます。目に見えてわかる反応に、飼育員一同、喜んだり悲しんだり、、、若干心が折れかけながらも、誰にでもすんなり飛べるよう日々特訓しています。
 フライト訓練は毎日、ふれあい動物園内の芝生のところで行っています。時間は決まっていないので、飛んでいるところを見ることができた人はラッキーです。もしかしたら、据え回しをしているところに遭遇することもあるかもしれません。どちらの際も危ないので鳥さんの近くには行かず、遠くから見守ってくださいね。
(中川 輝美)

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