飼育日誌

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【ブログ】レッサーパンダの同居 ニコ・カズ編

先日、レッサーパンダの和(カズ)♂とニコ♀の2023年最初の同居を行いましたのでその様子をお伝えします。


レッサーパンダは季節繁殖動物といい、一年に一度しか繁殖期がきません。

そのためレッサーパンダは比較的少ない繁殖チャンスで数を増やしていく必要があり、絶滅が危惧されているレッサーパンダの野生の個体数の回復するには長い時間を必要とします。

さて、日本では1−3月に適齢期のオスメスが『キュルルルル』という鳥のような鳴き声で鳴きます。

これは『恋鳴き』と呼ばれるもので恋の相手を探しアピールする声だと考えられています。

ただし、恋の準備が整っているからといって必ず鳴くわけでもないようです。

 

今季、カズはニコに対して10月くらいからずっと恋鳴きを続けていました。

だいぶ早いアピールです。

通常、飼育員は恋鳴きや匂い付けの増加など繁殖期特有の行動を目安にオスメスの同居の時期を決めますが、カズの場合はいつもフライングするので当てにせずに今年も通常通り1月から同居を開始できるように準備を進めました。

もちろん、カズがニコを受け入れる気持ちが満々であることは大変心強いです。

 

今年は色々な事情がありカズとニコの同居はレッサーパンダ館モート放飼場で行います。

レッサーパンダ館のゲートをくぐって一番最初の外の放飼場です。



同居はリンゴと竹の給餌と同じタイミングで始めるため、

いつも通りニコは食べることしか考えていなくて、カズはニコの挙動に反応しつつ一緒に竹を食べます。

これも毎回のことですが、甘いリンゴはほとんどニコが食べたと思われます。

 

そして、お腹が落ち着くとニコは早速カズへの攻撃開始です。

攻撃の理由はおそらくカズがいる場所を歩きたいからだと思います。

横切ればいいのに、と思うのは言葉が話せる人間ならではの発想です。




こちらもいつものことですが、カズは上手によけます。



追撃が嫌なので、カズは左手を上げたまま(手を上げるのは威嚇のポーズ)ニコに備えます。

その姿を見て賢いニコ(飼育担当の感想。諸説ある。)は不利を察し突然毛づくろいを始めます。

ニコの行動の変化についていけないカズはしばらく手をあげたまま困っていました。

ちなみに他の個体であればニコを攻撃してもおかしくない場面ですが、カズがニコに攻撃をするところは見たことがありません。

 

しばらく放飼場をウロウロし、ニコはチャンスをうかがっていました。

開けた場所なら勝てると考えたようです。



カズの手がニコに当たっているように見えるかもしれませんが、多分当たっていません。

仮に触れていてもポンと手を添えた程度だと思われます。

 

今回の同居を見て、担当者としては大丈夫だと判断しました。

今後レッサーパンダ館モート放飼場でカズとニコの同居を行なっていく予定です。

 

こんなに一方的に攻撃されてカズが可哀想だと思われた方もおられるかもしれませんが、

この後の様子を観察するとどうも傷心したのはニコの方だったようです。

翌日はカズに対して睨みを効かせるなど警戒モードでした。

一方で、カズはニコが好きなのでこんなに邪険にされても同居に乗り気でいてくれます。

このペアはカズの恋心と運動神経の良さのおかげでもっています。

 

前回のことを考えると繁殖期の間のほとんどは『ニコに近づかせてもらえないのでじーっとニコを眺めるだけのカズ』と『自由気ままに動いているニコ』の展示になるかと思います。

この時期ならではの様子になりますのでぜひ見にきてください。

 

また今季の同居は毎日行なう予定ですが、終日ではなく様子を見ながら同居する予定です。

というのも、同居が長いとニコがイライラしてしまうのと、カズがニコと目があった瞬間にドキドキしてそのまま足を滑らせてモートに落ちていきかねない性格をしているからです(笑)

様子を見ながらの判断になりますので、2頭が一緒にいる姿が見れたらラッキーと思っていただければ幸いです。

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